前回の話の続き
なんとかバスに乗ることができたが、あたりはすでに真っ暗だった。
走り回ったせいで、汗だくのままバスに揺られていると、それぞれの思いを持ったものが席に座っていた。
どの辺で降りれば良いのだろうか?携帯も持ってきていない。
韓国人ルームメイトからは「カシアストリート」で降りれば良いとのことだった。
これが明るい場合は、遊園地の近くまで来ると、もうすぐ降りるとわかるのだが、暗いとよくわからない。
しかもカナダのバスのアナウンス、予定の場所でアナウンスがある時とない時がある。
機械が喋っているのだから、どれも同じと思っていたが、どうやらバスの運転手がアナウンスを操作しているようだ。
待てど暮らせど、「カシアストリート」というアナウンスが来ない。
もうどれくらい乗っているだろうか・・・
不安になって、運転手に聞いてみると
「なんだって?カシアストリート?そんなストリートは知らん」と言う
私は発音を何度か変え、ようやく
「ああ。。。カシアストリートね、もうとっくのとうにすぎたよ」とはんば死刑宣告を受ける。
バスの運転手はバスを停めると、ここで降りた方が良いよと降ろしてくれる。
ありがとう。。。ただ、こんな真っ暗闇でどう歩けば良いのか、
道路に街灯はあるが、まるでど田舎の道のようだ。
バンクーバー、都市とは家、中心街から外れると途端に暗くなる。
とりあえず、バスで来た道をもう一度戻ることにした。
戻ると道が見えるかもしれないからだ。
ゆっくりと、しかし必死に歩き続けると、写真館のショーケースにアジア人夫婦の結婚写真が飾られていた。
とても幸せそうだ。
しかし、この写真どこかで見覚えがある。
さらにもっと進むとマクドナルドではないか!
確か、ここは朝家を出る時に見たはずだ!と言うことは、このマクドナルドを左に曲がれば家は近い。
だんだん急足になり、角を曲がった標識を見るとストリート名が書いてある。
あとはこの番号に沿って行けば着くはずだ!
目がさらになる状態で、ホームステイ先を探すと、まだ窓から暖かい光が漏れている。
ほっと胸を撫で下ろし、鍵を開けようとすると、息子がドアを開けてくれた。
彼は、若干呆れたような、でも嫌味ではない笑顔を見せると、親に私が帰ってきたことを大声で伝えた。