本当は怖い、デザインレビューの危険性

Design

デザイナーならば必ずあるデザインレビューについて今回はお話ししたいと思います。

なお、このデザインレビューは主にUI/UXに従事するデザインレビューについて述べています。グラフィックデザインなどは、ちょっと系統が違うのでご注意ください。

そもそもデザインレビューとは?

そもそもデザインレビューについて何もわかっていない、素人デザイナーがこの業界には多すぎます。特に最近ではUI/UXの分野が盛んになってきたせいか、大学で特に専門としたわけでもなく、社会人になってネットや本をつまみ食い状態で学んだデザイナーが多くなったと思います。

グラフィックの世界は、造形技術が問われますし、競争も多いためかまだまだ大丈夫ですが、近年のデザイン業界の様相を見ると、目も当てられないデザイナーが数多く存在します。

では、デザインレビューとは一体なんでしょうか?

デザインレビューは本当に単純です。

前提に基づいてデザイン出来ているか判断する

たった、これだけです。

なのにも関わらず、まともにレビューできないデザイナーやステークスホルダー(関係者)が多いことか・・・

デザインレビューの失敗例をもとにお伝えしたいと思います。

デザインレビューのよくある失敗

デザインレビューとは何か解説する前に、そもそもどんなデザインレビューが失敗なのか紹介したいと思います。

とにかく感想を言い合うレビュー

これは、デザインレビューでよくありますね。

特に、素人デザイナー、デザイナー以外の職種の人からもらうレビュー内容です。

デザインで感じたことを、とにかくいう。

「使いにくいと思う」

「綺麗じゃないと思う」

とにかく思ったことを連呼する人がいます。

別にそれが悪いわけではないですが、その思ったことを取り入れて本当に良いデザインになるのか全く考えていないのです。

デザインレビューとは、その意見をもとに改善を行いよりよくする行為です。

全ての人の感想を取り入れて物がよくなるはずがないのです。

とりあえず、粗を探して指摘するレビュー

これもよくあるレビューの一つですね。

デザインレビューをただ、単にお願いする方にも責任がありますが、デザインの背景を考えずに、自分が気がついた点を指摘するレビューです。

私はこれを粗探しレビューと呼んでおります。

デザインレビューとは、まずデザインの前提を理解してそれをもとにデザインが出来ているのか確認する作業です。

粗探しレビューは自分の基準に基づいて好き勝手に意見を言うレビューなので、レビュー後に改善してもそれが正しいデザインとはならないことがほとんどです。

良く、指摘してもらうだけ良いと言う意見がありますが、好き勝手に言うレビューは害以外の何物にもなりません。

前提と的外れな発言をする

例えば、前提として女性をターゲットにしたデザインを作成しているのに

「なんかもっとカッコよく、僕は全然良いデザインと思えない」

と男性が男性目線でレビューをすることがある。

これは、なんのためにデザインをしているのか全く考えていないから起こるレビューである。

レビュー後に修正しても、全く意味がないしやり直しが効かないので、やめた方が良いかと考える。

正しいデザインレビューとは?

正しい、デザインレビューとはなんであろうか?

答えは簡単、

前提に沿ってデザインされているか、否かを確認する作業である。

例えば、以下のデザインを見て見よう。

これは、「あなたのママになるために」と言う映画のポスターである。

これをデザイン批評するとしたら、皆さんならどう批評するだろうか?

では、デザインど素人が批判した場合は以下のようになる。

ちなみに、上のポスターはもちろん、ちゃんとした事務所の腕のあるデザイナーが作成したものである。

このポスターに対し、素人デザイナーにデザイン批評をしたときに出たフィードバックが上のようになる。実はこの批評、実際にデザイン学校に通う生徒からもらったフィードバックである。

一見正しいことを言っているようだが、自分達が学んだデザイン手法を一生懸命当てはめて語っているのがわかるだろう。

「顔が中心線からずれている」「線に合わせていない」などについても、我々の目で見た印象で揃っていれば、それは揃っているのだ

長年グラフィックデザインをおこなっているデザイナーが、オブジェクトを真ん中に置く際に、数学的に中心に置くだろうか?少し、低めに配置するだろう。

目の錯覚も考慮しない、付け焼き刃的なレビューが世の中に本当に蔓延っている。

こんなレビューを真面目に受けて修正したものならば、出来上がった作品は3流、4流になるのだ。

さて、ここから本題である。

では、正しいレビューをするにはどうしたら良いのか?

繰り返しになるが、「前提をきちんと定義してそれに沿っているのか確認する」作業だ。

例えば、先ほどの映画のポスター、もし前提が以下のようなものだった場合、どうだろうか?

  • 主演女優を全面に出し、主演女優から「母性感」を表現すること
  • 暖かさよりも、シックで落ち着きのある雰囲気にすること
  • 作家名は邪魔にならない程度出すこと
  • 主演女優の次にタイトルを強調する
  • 細かい情報は注意して読めばわかる程度にすること

このように定義された内容をもとに、再度ポスターを見た場合どう感じるだろうか?

おそらく特に問題を感じないはずだ。

細かいズレとかはどう指摘すれば良いのか?

今のようなことを書くと、

「では、本当に線に合わさっていないデザインに関してどう指摘すれば良いのか?」

と言う声もあるだろう。

それについて言えば、まずレビューされる側に意図を聞いてみて、特になければ揃えてもらうと言うコミュニケーションで良い。

たまーに、しつこく、ねちっこく聞く人がいるが、あれは時間の無駄なのでやめた方が良い。

簡単な修正は1分以内の会話で終わらせるべきである。

線に揃えるのを忘れるのは、ちょっとしたケアミスにすぎない。

意図もないならば、レビューされる方もする方もスタンダードな形に合わせるべきである

理由なきズレがある場合

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