UXデザイナーの仕事には、アプリやWebサイトなど、製品の開発がつきものです。
今回は、製品開発のライフサイクルについて説明します。
製品開発におけるライフサイクルとは、製品をアイデアから実際のものにするまでの一連のプロセスのことを指します。
プロジェクトで行うすべての作業は、このライフサイクルのいずれかの段階を経て行われるのです。
プロジェクトは、チームが何らかの問題を解決しようとすることから始まります。
その問題とは、最高のユーザー体験を提供する製品をどのように開発するか、そのためにはどうしなければいけないのか?と言う問いからスタートします。
製品のライフサイクルにおける5つのステージとは?
製品開発のライフサイクルには、5つのステージがあります。
それぞれの段階を見ていきましょう。
ブレインストーミング
製品開発ライフサイクルの最初の段階は、ブレインストーミングです。
この段階では、ユーザーに関するアイデアや、ユーザーの潜在的なニーズや課題を積極的に発見することが目的です。
ブレインストームの段階では、チームは問題を解決するためのアイデアを生み出し、デザインの対象となるユーザーを理解し、そのユーザーが持つ可能性のあるニーズや課題を特定します。
最初の段階では、対象となるユーザーを知るためのさまざまな方法を模索するため、リサーチが重要な役割を果たします。
この段階では、UXリサーチャーやライターが大きく関与し、ユーザーへのインタビューやその他の調査を行うことがあります。
定義
製品開発ライフサイクルの第2段階は「定義」です。
この段階では、ブレインストームで得られた知見をもとに、ターゲットを絞り込んでいくことになります。開発中の製品がユーザーにどのような影響を与えるかを具体的に決めてゆきます。
UXデザイナーとしては、製品に関する具体的な内容、誰のための製品なのか、製品は何をするものなのか、製品を成功させるためにはどのような機能が必要なのか、といったことを考えます。
製品設計の目標や問題点を明確にするための記述が、定義段階の焦点となります。
デザイン
製品開発ライフサイクルの第3段階は、デザインです。
デザイン段階では、UXデザイナーが積極的にアイデアを練り始め、定義段階の仕様がすべて現実的であるかどうかもチェックします。
最初の2つのステージは、準備と計画に重点を置いています。
ユーザーが誰なのか、ユーザーは何を求めているのか、デザインで解決したい問題や課題は何なのかを明確に理解します。
UXデザイナーは、最初の2つのステージで得た知見をもとに、ユーザーを最優先に考えたデザインを生み出します。
その際、ストーリーボードと呼ばれるユーザーの体験を描くためのスケッチや、ワイヤーフレームと呼ばれるコンテンツのレイアウトの概要など、さまざまな素材を作成します。
また、UXデザイナーがデザインの機能性をテストするためのモデルであるプロトタイプを作成することもあります。
これらについては別記事で取り扱う予定です。
テスト
第4のステージは、テストです。
テスト段階では、ユーザーからのフィードバックに基づいて、製品デザインを評価します。
ユーザーと一緒にデザインをテストすることは、チームが何よりもまずユーザーに焦点を当て、次にデザインに焦点を当てるためにとても重要です。
テストを行うことで、デザインを改善するためのポイントが見えてきます。
また、UXデザイナーがデザインのインタラクティブ性(相互作用し合う度合い)を検討する際にも役立ちます。
この段階では、UXデザイナーとフロントエンドエンジニアの間で、ユーザーのニーズを満たし、実用的で機能的な最終製品を作るための方法を考えるために、多くのやり取りが行われます。
色やフォントが会社のブランドに合っているか、プロトタイプのデザインは分かりやすいか、などを議論します。
ローンチ(リリース)
最後に、製品開発ライフサイクルの最後の段階として、完成した製品を世に送り出す「ローンチ」があります。
Google Play StoreやAppleのApp Storeへのアプリの掲載、Webサイトの公開、実物の商品の店頭販売などがこれにあたります。
発売は、自分のデザインが現実の世界でどのように受け入れられるかを知ることができる絶好の機会なので、チーム全体にとって非常に良い機会であります。
しかし、発売後も製品に関する作業は完全には終わりません。
フィードバックに基づいて、デザインを改善したり、ユーザーエクスペリエンスについてさらに理解を深めたりする機会があるかもしれません。
そのためには、設計やテストの段階に戻って、より良い製品を作るための方法を考える必要があります。
まとめ
以上、製品開発のライフサイクルにおける5つのステージ(ブレインストーム、定義、デザイン、テスト、発売)についてご紹介しました。
まとめるとこのようになります。
- UXデザインにおいて製品のライフサイクルを理解することが重量
- 製品のライフサイクルは5つのステージがある
- ブレインストーム
- ユーザーの潜在的なニーズや課題を発見するプロセスでユーザーリサーチなどが行われる
- 定義
- 製品に対する具体的な内容を決めて、製品はなにをすつものなのか?ターゲット層はだれか?必要な機能は何か?などの目標や問題点を明確にする
- デザイン
- 調査した内容をもとに、ユーザーはなにを求めているのか?デザインで解決したい問題や課題はなんなのか明確に理解し、ストーリーボードなどでアイディアを具現化する
- テスト
- プロトタイプなどを作り、エンジニアと協力しながら実際の製品は要件を満たしているなどを議論します。
- ローンチ
- 実際に製品を世の中に出して、ユーザーの反応を見ます。そして、その反応を見てより良い製品を作るための施策を行なってゆきます。
- ブレインストーム
次回の記事では、良いユーザーエクスペリエンスの特徴について学んでいきます。